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要らなくなったものや廃棄物を、その特徴を活かしながら、より価値ある製品に生まれ変わらせるアップサイクル。SDGsの目標達成にもつながることなどから、近年、注目を集めている取り組みです。
ここでは、アップサイクルの仕組み・注目の理由・メリットといった、押さえておきたい基礎知識をまとめてご紹介します。アップサイクルについて正しく認識できているか、この機会に確認してみてください。
冒頭でもお伝えしているとおり、アップサイクル(Up cycle)とは、要らなくなったものや廃棄物などに付加価値を付けることで、よりよい製品にして再利用することです。
例えば、車のエアバッグを再利用したレジャーシート、端材を利用した木製の腕時計など、さまざまなアップサイクル製品の実例があります。有名なアパレルブランドが、アップサイクル素材を利用して製品づくりをするなど、世界的にトレンドとなっている手法です。アップサイクルの特徴としては、以下のとおり、元々の製品や素材の特徴を活かして再利用することなどが挙げられます。
▼アップサイクルの特徴
ちなみに、アップサイクルと対になる、ダウンサイクル(Down cycle)という再利用方法も存在します。例えば、古くなった衣類を雑巾として使うなど、元々の製品よりダウングレードさせた再利用方法が、ダウンサイクルです。
アップサイクルとダウンサイクル | |
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アップサイクル |
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ダウンサイクル |
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捨てるはずだったものに、アイデアを付け加えて長く使い続けるアップサイクルは、廃棄物の抑制につながります。再利用するために大量のエネルギーなどを必要としないため、環境への負荷もかかりません。これらのことから、アップサイクルは、持続可能な社会の実現に最適な取り組みの一つと言えるでしょう。
これからの社会で欠かせない画期的なアップサイクルですが、その認知度は、まだ、これから高めていく必要がある段階にあります。
株式会社スナックミーが2021年7月に全国で実施した「アップサイクルに関する調査」結果によると、アップサイクルという言葉を知っているとした回答は、全体の12.1%という結果でした。さらに、アップサイクルの意味まで知っているという回答は、8.4%にとどまりました。
ここで着目したいのが、アップサイクルの意味を知っている人に対し、「アップサイクル商品とそうでない商品がある場合にどちらを選ぶか」を調査した結果、過半数がアップサイクル商品を選ぶと回答したことです。アップサイクルであることが、商品価値を高め、購買理由になることがわかります。
またアップサイクル食品のイメージについては、「環境によさそう」と考える人が47.0%、「ヘルシー」という回答が32.1%など、好印象を持つ人が多いことがわかりました。
参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000107.000031067.html
▼アップサイクルの認知度に関するポイント
アップサイクルと類似した廃棄物の抑制や資源の有効利用につながる取り組みとして、リサイクル・リユース・リデュース・リメイクがあります。
これらの言葉の意味と、アップサイクルとの違いを把握し、アップサイクルについての理解を深めておきましょう。
リサイクル(recycle)とは、不用品や廃棄物を資源やエネルギーの状態に加工してから、再利用することです。例えば、以下のような再利用が、リサイクルに当たります。
【リサイクルの例】
元々の製品や素材を活かして再利用するアップサイクルと異なり、リサイクルは、資源やエネルギーの状態まで再資源化してから利用します。
アップサイクルと比べると、リサイクルでは、原材料まで再資源化する分、再利用できる範囲が広くなる傾向にあると言えるでしょう。反面、再資源化するのに、多くのエネルギーやコストが必要になる場合があります。
現状では、リサイクルすることが環境負荷につながるケースもある中、アップサイクルであれば、そのような問題は生じにくいと言えます。
▼リサイクルとアップサイクルの違い
リサイクルは、再資源化してから利用するのに対し、アップサイクルは、元々の製品や素材を活かして付加価値を付け再利用する
リユース(reuse)とは、使わなくなったものを加工せず、そのまま再利用することです。リユースの具体例には、次のようなものがあります。
【リユースの例】
アップサイクルは、再利用するために元々の製品や素材に手を加えるのに対し、リユースでは、手を加えずそのままの形で再利用するという点が大きな違いです。
リユースは、製品を再利用するので、無駄な資源を消費することを抑える効果が高い取り組みと言えます。ただし、再利用するのに修理が必要な場合は、新たな製品を購入するよりも修理費用が高くついてしまうケースもあることに、注意が必要です。
▼リユースとアップサイクルの違い
リユースは、手を加えずそのまま再利用するのに対し、アップサイクルでは、何らかのアイデアを付け加えてから再利用する
リデュース(reduce)とは、廃棄物の発生量を減らすための取り組みや行動のことです。例えば、次のような取り組みが、リデュースに該当します。
【リユースの例】
アップサイクルは、廃棄物になってしまった製品を再利用するための取り組みであるのに対し、リデュースは、そもそも廃棄物を出さないための取り組みであるという点が違います。
リデュースは、コストをかけずに行える取り組みで廃棄物の発生抑制に直結するため、他のリサイクルやリユースに優先して行うべきであると言えるでしょう。リデュースに取り組んだうえで、それでも発生した廃棄物を、アップサイクルやリユースなどで再利用に回すことが大切です。
▼リデュースとアップサイクルの違い
リデュースは、ごみの発生そのものを減らす取り組みで、アップサイクルは、発生したごみや不用品を再利用するための取り組み
リメイクとは、不要になった製品などにアレンジを加えて再利用することです。リメイクの具体例を見てみましょう。
【リメイクの例】
元々の製品や素材に手を加えることでグレードアップさせるアップサイクルと比べ、リメイクは、手を加えた後に価値が上がっているかどうかを問わないことが、大きな違いです。
もう少し説明を加えると、アップサイクルや先ほどご紹介したダウンサイクルは、リメイクの一種と言うことができます。つまり、リメイクとアップサイクルは、別のものというよりは、包含関係にあると捉えておくとよいでしょう。
▼リメイクとアップサイクルの違い
リメイクは、手を加えることで価値が上がっているかどうかを問わないのに対し、アップサイクルは、手を加えることで価値が上がっていることを必要とする
最近、アップサイクルが注目されている背景には、次のような理由があります。
▼アップサイクルが注目されている主な理由
石油や石炭といった化石燃料やレアメタルなどは、すでに、数十年で採掘できなくなると言われています。
他の天然資源についても、消費量が多ければ、当然、供給が追いつかなくなる・環境への負荷がかかるなどの弊害が出るでしょう。例えば、木材なども大量消費すれば、森林破壊・生態系の破壊などにつながっていきます。
このような資源枯渇への対策の必要性が高まる中、資源の使用量を減らせるアップサイクルは着目されているのです。
また、詳しくは後述しますが、アップサイクルに取り組むことは、SDGsの目標達成につながります。そのため、取り組みを進めることで、企業イメージを高めることも可能です。アップサイクル素材を利用するといった、商品開発方法を変えるだけで、社会貢献と企業価値向上を実現できるとあって、注目が集まっています。
アップサイクルは、従来の廃棄物抑制の取り組みと比べても、多くのメリットがあるという点も、注目される理由と言えます。代表的なメリットを、確認しておきましょう。
▼アップサイクルの代表的なメリット
アップサイクルの大きなメリットは、取り組みの過程で、必要なエネルギーなどの資源が少なくて済むことです。例えば、使用済みペットボトルをリサイクルしようとすると、容器の洗浄で大量の水を使用し、原材料に戻す段階で多くの電気などが必要になります。
しかしアップサイクルであれば、従来の製品・素材を活かすという特性上、大がかりな洗浄や化学処理は不要であるため、こういった資源の大量消費が起こりにくいのです。
また、アップサイクルは、リユースと比べて、モノの寿命が延びやすいという利点があります。基本的に、そのまま同じものを使い続けるリユースは、製品を当初の寿命まで使い切れば、廃棄物になるでしょう。
一方、アップサイクルでは、手を加える過程で新たに寿命が設定され直すので、長く使い続けやすいのです。
アップサイクルに取り組むことで、SDGsの目標達成に貢献することができます。具体的に関係する目標は、SDGsの目標12です。
アップサイクルと関係のある主なSDGsの目標 | |
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目標12「つくる責任 つかう責任」 |
目標12のターゲットのうち、特に、天然資源の持続可能な利用(12.2)や、廃棄物の発生を大幅に削減すること(12.5)と関係する |
さらに、アップサイクルによってプラスチックごみを減らせることにまで考えを及ぼせば、目標14「海の豊かさを守ろう」などの達成にも、貢献できると言えるでしょう。
実は、アップサイクルは、日本文化と相性がよい取り組みでもあります。
古来から行われている、金継ぎや着物のリメイクなどは、まさにアップサイクルの取り組みだからです。
日本人とかかわりの深いアップサイクル | |
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金継ぎ |
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着物のリメイク |
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金継ぎは、現代でも人気があり、教室が催されたり、キットが発売されたりしています。着物をリメイクしたワンピースやバッグなども、好評です。この機会に、古来から現代まで息づくアップサイクルを、生活に取り入れてみるのもよいでしょう。
本来であれば廃棄されるはずのコーヒーを抽出した後に残る豆かすを使用することで廃棄物の削減や合成樹脂の使用量を抑えるアップサイクル商品です。
<製造過程>
回収されたペットボトル等を洗浄・粉砕してペレットを作り、それを原料にバッグなどの縫製品やボールペンなどの雑貨に生まれ変わらせています。海洋汚染の原因として注目される廃プラスチックの削減、CO2排出の抑制など環境保全に貢献するエコな素材でつくられた製品です。
<製造過程>
回収された衣類や生産中に生まれた生地の端切れを粉砕、再度撚って作られたものが再生ファブリック糸です。廃棄を生み出さない点に加え、すでに色がついた綿くずから作るので染色する必要もなく、CO2の削減・水の節約にもなる素材です。
シャンブリックシリーズは、この再生ファブリック糸を使った製品です。縦・横糸を違う色で織り込むことで実現した優しいカラーも魅力のシリーズ。